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夜行百モノカタリ

~月見月の百鬼夜行私的考察ブログ~

   

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幽谷響(やまびこ)Yamabiko





安永5年(1776年)に
刊行された鳥山石燕の妖怪画集「画図百鬼夜行」「前篇陰」の幽谷響です。













こちらが
画図百鬼夜行に描かれた石燕の幽谷響です。






Wikipediaを見ますと
山彦(やまびこ)は、日本の山の神・精霊・妖怪である。
また、山や谷の斜面に向かって音を発したとき、それが反響して遅れて返って来る現象を、山彦が応えた声、あるいは山彦が引き起こした現象と考え「山彦」と呼ぶ。その場合は幽谷響とも表記された。また、樹木の霊「木霊(木魂)」が応えた声と考え「木霊(こだま)」とも呼ぶ。
とありました。

それは良いとして、あれは何ですかね・・・

猿?

犬?

何をモチーフとしていているのか
またどこの文献から得たのか
実に興味があります。
しかも、人を小馬鹿にしたような仕草・・・

というわけで、いつものように調べてみました。

幽谷響(やまびこ)は山の中で人間の声などを反響させる妖怪。サルのような子イヌのような小動物の姿で描かれることが多い。「山彦」と書かれることも多いが、「彦」という字は本来は「日子」と書き、日の神である天照大御神(アマテラスオオミカミ)の子孫であることを示す。したがってヤマビコ現象が山の神さまの仕業と考えられていたことに由来するが、次第に山の中に棲む妖怪の仕業と考えられるようになり、山童(ヤマワロ)、玃(ヤマコ)、彭侯(ホウコウ)などの山の妖怪のイメージを取り込みながら、『百怪図巻』や『画図百鬼夜行』などの妖怪画に描かれるような小動物の妖怪になっていったものと考えられる。

と、ありました。
なるほど・・・
彭侯(ほうこう) (出典:寺島良安『和漢三才図会』)
彭侯(ほうこう)
中国の怪異説話集『捜神記』によると、呉の時代に敬叔と言う人物がクスノキの大木を切ると、血が流れて人の顔を持つ犬のような彭侯が現れ、煮て食べると犬の味がしたとある。また同書によれば、中国の聖獣・白澤が述べた魔物などの名を書き記した白澤図の中に、彭侯の名があると記述されている。
彭侯の名は江戸時代の日本にも伝わっており、当時の怪談集『古今百物語評判』、百科事典『和漢三才図会』、鳥山石燕による妖怪画集『今昔百鬼拾遺』にも中国の妖怪として紹介されている。『和漢三才図会』では『本草綱目』からの引用として前述の敬叔の逸話を述べており、彭侯を木の精、または木魅(木霊)のこととしている。
山中の音の反響現象である山彦は、木霊(木の霊)が起こすと考えられたことから、かつて彭侯は山彦と同一視されることもあった。江戸時代の妖怪画集である『百怪図巻』や『画図百鬼夜行』などにある、犬のような姿の山彦の妖怪画は、この彭侯をモデルにしたという説もある。(wikipedia)

玃(やまこ) (出典:寺島良安『和漢三才図会』)
玃(やまこ)
中国の本草書『本草綱目』によれば、猴(こう。サルのこと)より大きいものとあり、『抱朴子』によれば、800年生きた獼猴(みこう。アカゲザルのこと)が「猨」となり、さらに500年生きて玃猿(かくえん)になるとある。玃は老いたサルであり、色は青黒い。人間のように歩き、よく人や物をさらう。オスばかりでメスがいないため、人間の女性を捕らえて子供を産ませるとある。
日本では、江戸時代に玃猿が日本国内にもいるものと信じられ、同時代の類書『和漢三才図会』に「玃(やまこ)」の名で説明されており、同項の中で日本の飛騨・美濃(現・岐阜県)の深山にいる妖怪「黒ん坊(くろんぼう)」の名を挙げ「思うに、これは玃の属だろうか」と述べられている。
日本の江戸時代の絵師・鳥山石燕による妖怪画集『今昔画図続百鬼』でも、玃猿の姿が「覚」として描かれており、本文中には黒ん坊のことが「飛騨美濃の深山にあり」と述べられている。

"山彦"が"玃(=覚:サトリ)"と同一視されたことについては、民族学者 柳田國男 もその著「妖怪談義」において、「サトリという人の心中を見抜く怪物と、人をまねる山彦の伝承は同根のものであろう」と示唆しています。(wikipedia)

※『和漢三才図会』(わかんさんさいずえ)は、江戸時代中期、正徳3(1713)年頃出版された挿絵入り百科事典です。中国、明の『三才図会』(王圻編)にならい、30余年の歳月をかけ大坂の医師寺島良安によって編纂されました。本文は漢文で解説されています。

何れにしても幽谷響は彭侯、あるいは玃猿などをモデルにしたということですが・・・似てねぇ~^^;





今昔画図続百鬼』。
鳥山石燕の妖怪画集『画図百鬼夜行』の続編「雨」の中に収録されています。
「覚」として描かれているです。











今昔百鬼拾遺』。1780年(安永10年)に刊行された鳥山石燕の妖怪画集。モデルにされたという説のある彭侯。「雲」に収録されています。








まだまだ調べてみました^^
山彦神社記

徳島県の山彦神社では、表向きの祭神は金山毘古命(神話に出てくる鉱山の神)とされているがこれは仮の名で、実は伊勢伝左ヱ門という稲田力郎兵ヱの家臣を祭ってあるという。通称山彦はんと呼ばれて親しまれているこの神様に関する伝説は有名で、脇町新町に住み、文武の達人で、また魔術を心得て奇怪な行いが多かったのでついに主君に忌み嫌われて正徳4年(1714)3月25日処刑されたという。(美馬郡郷土誌)

石燕は処刑される2年前の正徳2年(1712年)に生まれています。情報の未発達な時代とはいえ、風聞で聞き知っていたのかも知れません。




次は英彦山です。

古くは日子山と書き,嵯峨天皇のときに彦山と変わり,1729年(享保14)霊元上皇の院宣によって英彦山と書くようになった。英彦山は奈良時代の医僧法蓮の入峰以来,山伏の修験道場として栄え,最盛期には僧坊3800を数え,その信仰は九州一円に及び,大峰山,羽黒山と並んで日本の三大修験道場とされた。

英彦山神社によりますと

御祭神
主神  天忍穂耳命
配神  伊邪那岐命
     伊邪那美命

お由緒
英彦山は、古来から神の山として信仰されていた霊山で、御祭神が天照大神の御子、天忍穂耳命であることから「日の子の山」即ち「日子山」と呼ばれていました。
嵯峨天皇の弘仁10年(819年)詔(みことのり)によって「日子」の2文字を「彦」に改められ、次いで、霊元法皇。享保14年(1724年)には、院宣により「英」の1字を賜り「英彦山」と改称され現在に至ってます。

しかし英彦山の祭神は変遷しており、英彦山の北岳にはオシホミミの命(吾勝命)が鎮座すると言われていますが、元々ここには大国主命が鎮座していたといわれています。
また南岳には、
ヒコホホデミの命(山幸彦)が鎮座し、中岳の中宮は、市杵島姫命が祭神となっています。上宮は伊邪那岐命と思われます。下宮は大国主が祭神です。

元々は大国主の一族と宗像三女神が英彦山の山頂に鎮座していたのを下ろして、代わりに邪馬壹国の天子一族を山上に祀ったものと考えられます。

日本書紀や古事記に見る神々が先ほどから見え隠れしていますが、う~ん、どうも幽谷響とは結びつかない・・・
謎が深まるばかりで、石燕の幽谷響を説明することができません。
やはり、玃(ヤマコ)や彭侯(ホウコウ)などの山の妖怪のイメージを取り込みながら、狩野派独特の画風として妖怪画に描かれたのでしょうか?

昔の人々は山彦を自然現象ではなく、山谷に人以外の者(妖怪)がいてそれが人の声をまねているのだと考えられていました。茨城では〈あまのじゃく(天邪鬼)〉、静岡では〈山の小僧〉、鳥取では呼子(よぶこ)とか呼子鳥(よぶこどり)というものが声を発しているのだと伝えています。
呼子は、声真似の他に自分から呼びかけ、応えたものを谷底に落とすと言われ、高知県では昼夜問わず深山で突如聞こえる恐ろしい声を山彦と指します。福岡県では『山おらび』と言われ、山彦と同じく叫んだ声を真似しこれを繰返すと段々声が大きくなって、ついにはその凄まじい声で殺されてしまいますが、この時割れ鐘を叩くと難を避けられると伝えられています。

また
木の神霊が返事をしたと考える場合は「木魅」、山の神が返事をしたと考える場合は「山彦」。
そして妖怪が返事をしたと考える場合は「幽谷響」と記され、伝承に残る幽谷響は姿が見えないとされる事も多いそうです。
やはり小馬鹿にしているな・・・
悪戯好きで、おいそれと捕らえられはしない。か

それにしても、この変な妖怪が夜行するには、やはりそれなりの理由があるはずです。
なぜなら、百鬼夜行に出遭うと死んでしまうわけで、ただの行進とはわけが違います。

月見月的に、百鬼夜行とは
「裏切られ捨てられた深い悲しみが心を狂わせ、
恨みや憎しみと癒されぬ思いが心を捻じ曲げていく。
悲痛な叫びは誰にも届かず、
深い闇の底で絶望し、やがて鬼となりはてる。」
そんな悲しい夜行だと感じています。

石燕の画図百鬼夜行は、その墓標だと感じざるを得ません。
だって、どの妖怪も愛くるしい表情をしていて、鬼を感じさせず、怖さというものが無いのです。

そういう意味では水木しげる先生も似てますね。
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L-シトルリン

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